ニュース & トピックス

2014年度の活動について写真など公開しました

『イギリス史10講』合評会、ルンドでの国際ワークショップにおける写真を公開するとともに、今年度開催したそれぞれの研究会の報告を加えました。

公開日:2015-03-31

国際ワークショップ(第12回研究会)がスウェーデンで開催されました

本科研は、スウェーデン・デンマークの歴史学者と連携して、2014年9月11日にルンド(スウェーデン)にある歴史文化博物館Kulturenにおいて国際ワークショップ"Dynamism of the "Conglomerate State" in Historic Europe: The Forefront of Studies on Early Modern European States"を開催しました。当日は"Conglomerate State" 論の提唱者であるH.グスタフソンさん(ルンド大学)を基調講演者としてお招きし、"Conglomerate State" 論の構想の経緯やその全容を語って頂きました。これに対して日本側からは、近藤和彦さん(立正大学)が"King James and “Emperor” Ieyasu meet in 1613: Two conglomerate states and the "English" interpreter, William Adams”と題する報告を行い、17世紀初頭の複合政体における普遍君主理解にたった"Emperor"としての「天下人」の紹介が、ジェイムズ1世と徳川家康との書簡に対する実証的検討の成果として行われました。また小山哲さん(京都大学)からは、“How was the equal status of Lithuanians kept in the Commonwealth of Two Nations? ― The Polish-Lithuanian union in the light of the memoirs of the Lithuanian Grand Chancellor, Albrycht Stanislaw Radziwill (1632-1655)”と題する報告が行われ、リトアニア大公国大法官A.S.ラジヴィウの日記からポーランド・リトアニア合同に対するリトアニアの「対等性」の日常的な主張を析出することで、「日常」における複合的政治編成のあり方の一端が示されました。さらに後藤はる美さん(東洋大学)からは、“Cromwellian Union and the Law: the Conglomerate State from a British perspective”と題された報告が行われ、「君主なき共和国」というテーゼに立ち、共和政期のイングランド・スコットランドの法の合同論の事例にみられた礫岩的なブリテン再編の議論から、北欧の枠を超えて"Conglomerate State" 論の刷新を図る観点が示されました。当日は科研「近世ヨーロッパの周縁世界における複合的国家編成の比較研究」にもご協力頂いたゴナ・リンさん(コペンハーゲン大学)をはじめ、ハンネ・サンダースさん(ルンド大学)、スヴェルケル・オーレッドソンさん(ルンド大学)、イェンス・レルボムさん(ハルムスタード大学)など、現在のデンマーク・スウェーデンを代表する歴史学者の皆さんに参集頂き、闊達な議論の時間がもたれました。グスタフソンさんの"Conglomerate State" 論は近世バルト海世界におけるスカンディナヴィアの政治事情をコンテクストとした議論であることが繰り返し強調されましたが、それに対して、日本側は近藤さんが提示した普遍君主論への着目、小山さんが提示した"a conglomerate republic of the nobles"や後藤さんが提示した法の合同論などに見られる動的な複合性への着目など、独自の観点からこの議論を発展させていることが示されました。ひとつの定式としてまとめることが難しい、それだからこそ多様なヴァリアントを相互に確認しあうことが重要な「礫岩国家」論をめぐって、例えばコペンハーゲン大学とルンド大学の研究者が日本の研究グループが主催したワークショップで議論する姿から、国籍を超えた様々な歴史学者の議論を「交差」させるプラットフォームとしてこの議論が有効であり、メタナショナルな歴史学研究の交流を「橋渡す」日本の歴史学界の可能性を確認しました。











公開日:2014-09-20

第11回研究会が大阪で開催されました

本研究は、以下の日程で第11回研究会を開催しました。(2014年3月29日に公開形式で開催された『イギリス史10講』合評会を本科研が主催した研究会の第10回目としてカウントします。

【日時】2014年8月9日(土)13:00~17:00
【会場】千里中央ライフサイエンスセンター502号室

会次第:第1部 ルンド大学(スウェーデン)における国際ワークショップの準備について(プログラム・報告内容などの確認)
第2部 「歴史的ヨーロッパにおける複合政体のダイナミズムに関する国際比較研究」の今後の研究方針に関する協議
第3部 個別報告 古谷大輔(大阪大学)「近世バルト海世界における政体変動と共和主義ースウェーデン・リトアニア合同の視線から」

当日は台風11号が接近するなか開催が危ぶまれましたが、2014年9月にルンド大学(スウェーデン)で本研究が海外で主催する初の国際ワークショップについてプログラム内容などが確認されるとともに、個別報告として研究代表者の古谷から、ポーランドの“大洪水時代”にあたる1655年にリトアニア大公国とスウェーデン王国との間で締結されたケダイネイ合同について報告されました。ポーランド・リトアニアの多宗派が併存する環境、スウェーデン・ポーランド・ロシアの三つ巴の抗争などを背景に、いわゆる「共和国」とは異なるもうひとつの政体合同の可能性が示され、当日は小山哲さん(京都大)からこの合同を主導したラジヴィウ家の立ち位置について詳細なコメントを頂き、バルト海を越えたポーランド・リトアニアとスウェーデンの比較研究の可能性を確認しました。

公開日:2014-08-15

国際セミナー「「礫岩国家」の三点測量〜歴史的ヨーロッパにおける複合政体を比較する」が開催されました

2014年4月12日に、本科研と早稲田大学総合研究機構・早稲田大学高等研究所・早稲田大学ヨーロッパ文明史研究所・早稲田大学日欧研究機構が協力して、国際セミナー「「礫岩国家」の三点測量〜歴史的ヨーロッパにおける複合政体を比較する」が開催されました。(このセミナーに本科研からは、研究代表者の古谷が司会者として、研究分担者の中澤達哉さん(福井大学)が趣旨説明者として、小山哲さん(京都大学)・内村俊太さん(上智大学)がコメンテータとして協力しました。)当日は、イベロ・アメリカ近世史の研究者として高名なジャン・フレデリック・ショーブ(フランス社会科学高等研究院教授)さんから「近世ヨーロッパのイベリア帝国:集中と分裂」と題された基調報告を頂き、それに対して、日本側からは小山哲さん(京都大学)がポーランド・リトアニアの事例から、河野淳さん(広島修道大学)からはバルカン半島の事例から、内村俊太さん(上智大学)がイベリア半島の事例から、大西洋をはさんだ複合的国家編成であるイベリア帝国への比較コメントが提示されました。「三点測量」という本セミナーの目標に関して、ショーブさんは、複合的政治編成を比較検討するためのマトリクスを示されながら、各コメントの議論に応じました。またショーブさんからは、本科研が共有する歴史的視座が主としてアングロ・ゲルマンの歴史学界から提供された議論であることを批判され、ラテン系の歴史学界が提供するイベロ・アメリカが提供する歴史的事例への関心をも含む議論へ昇華させることの重要性を指摘されました。大西洋をはさむ同時代的な理解として普遍政体への一定の指向性(あるいは普遍政体への理解を基準とした歴史的ヨーロッパの範囲)が確認されたところで、「国際比較研究」と銘打った本科研の検討課題である「複合政体」論がもつ「共同研究のプラットフォーム」としての可能性が認められるセミナーとなりました。

公開日:2014-04-29

『イギリス史10講』合評会(第10回研究会)が開催されました

本科研は、2014年3月29日に千里中央ライフサイエンスセンターで、本科研の研究協力者である近藤和彦さん(立正大学)をお招きし、近藤さんが公刊された『イギリス史10講』の合評会を開催しました。当日は、篠原琢さん(東京外国語大学)と金澤周作さん(京都大学)をコメンテータとしてお招きし、それぞれの研究の立場から『イギリス史10講』を評して頂き、それに対して近藤さん・フロアの皆さんが「対話」する形で会が進行しました。篠原さんからは、「中央ヨーロッパ」史における歴史叙述の特性との比較にたったときに見えてくる本著の特徴を、政治社会・英語という圏域・表象の往還という三つの視座から指摘頂きました。金澤さんからは、これまでのイギリス通史と比較した場合に見えてくる本著/あるいは本著に示された近藤さんの歴史観の特徴を、構成(設計図)・叙述(技芸)・歴史観(精神)の三点から整理しご指摘を頂きました。2014年度から始まった本科研としてははじめての公開セッションとなりましたが、フロアには世代を超えた40人強の参加者があり、単なるイギリス通史を超えて本著が提示する議論と視座の「懐の深さ」が窺われました。



公開日:2014-04-10