平成23年度の研究成果

 本研究の二年度目にあたる平成23年度は、研究分担者・連携研究者による各々の対象地域の複合的国家編成に関する調査を継続するとともに、各研究者の研究活動の経過を報告検討する会合(2011年6月25日於東京大学、2011年12月23日・24日於長浜)、デンマーク・コペンハーゲン大学サクソ研究所に所属するゴナ・リン教授を招聘して講演会ならびに国際ワークショップ(2012年3月2日於立教大学、2012年3月13日於京都大学)を実施しました。

 本研究は、複合的国家編成の制度的側面と理念的側面への比較をいう問題関心を共有しているものの、これまで各々の地域の事例に対する検討の視角は研究者それぞれの知見に基づいて様々でした。これに対して、科研基盤研究(A)「ヨーロッパ境界地域の歴史的経験におけるパトリア/市民権」に参画する研究者も参画した12月の研究会合、ならびにリン教授を囲むワークショップでの議論を通じて、本研究は、当該地域に独特な法慣習に従った地域統合の過程や広域的に拡張する人的結合に従った地域統合の過程など、具体的に「地域と地域とを結びつける統合の方法と論理」に比較軸を定め、それぞれの国家編成の検討を最終的に整理するということで、本研究の最終年度にむけた研究活動の指針となる論点の一致を見ました。

 また、本研究が取り組む複合的国家編成の制度的側面と理念的側面に着目した比較研究の将来的な可能性を問うべく、2012年3月1日には東京大学にて、近世を対象とした東洋史研究者・日本史研究者とも会合を開き、本研究の問題設定と研究手法を披瀝して意見交換を行ってもいます。

【平成23年度の研究成果(雑誌論文・学会発表・図書に限る)】
【雑誌論文】
  1. Atsushi Otsuru, "The State of Austrian/Habsburg Historical Studies in Japan", Gunter Bischof, Fritz Plasser, Anton Pelinka, Alexander Smith(Eds.), Global Austria. Austria’s Place in Europe and the World, 2011, pp.297-304.
  2. Hirotaka TATEISHI, "Pedro Rodríguez de Campomanes y la formación del Diccionario geográfico-histórico de España", Mediterranean World, vol.21, pp.1-18.
  3. 古谷大輔,「グスタヴ・ヴァーサ~スウェーデンの源を築いた男の激動の人生」,『エクセレントスウェーデン・ケアリング』,13号,2011年,86-90頁.
【学会発表】
  1. 中澤達哉,「リプライ:書評(古谷大輔)・中澤達哉著『近代スロヴァキア国民形成思想史研究―「歴史なき民」の近代国民法人説―』(刀水書房、2009年)」,早稲田大学ヨーロッパ文明史研究所研究会,2011年4月23日 ,早稲田大学.
  2. 古谷大輔,「中澤達哉氏著『近代スロヴァキア国民形成思想史研究』(刀水書房、2009年刊行)をめぐって」,早稲田大学ヨーロッパ文明史研究所研究会,2011年4月23日,早稲田大学.
  3. 古谷大輔,「地域像の「北欧」的紡ぎ方―地域認識をめぐる座標軸の歴史的変遷」,JCAS地域研究コンソーシアム2011年度コンソーシアム・ウィークシンポジウム,2011年11月4日,大阪大学.
  4. 古谷大輔,「国家形成論はいかに国家主義・近代主義の批判を克服するか?」,ヨーロッパ近世史研究会第17回例会,2012年3月24日 ,武蔵大学.
  5. ゴナ・リン(コペンハーゲン大学教授),「財政軍事の道程から国家形成へ―デンマーク君主体制における市民社会、集合意識、国家、1500-1850年」,バルト・スカンディナヴィア研究会2012年3月例会(本科研との共催),2012年3月2日,立教大学.
  6. ゴナ・リン(コペンハーゲン大学教授),「法、戦争、ネイション―デンマーク連合国家の変質の論理、1460-1864年」,「近世ヨーロッパ周縁世界における複合的国家編成の比較研究」国際ワークショップ,2011年3月13日 ,京都大学.